バランス感覚を鍛えるために…

「バランス感覚を鍛える」ことは、
なにも体幹を鍛える体力維持や健康維持、筋肉トレーニングばかりではないと思う。


コミュニケーションスキル、情報リテラシー、論理的思考力、課題発見など、あらゆる立場での解決能力を養うために「バランス感覚を鍛える」ことが、求められていると私自身は痛切に感じている。


平和を願うからこその選択の道で、揺れ、迷う一人の私が、何を拠り所に将来の進路を選択すべきなのか…。


「色々な立場の人の意見や考え方に触れること、違う角度から物事を眺めてみる」こんなことから始めるのも、リテラシー(情報を的確に読み解く力)をつけ、バランス感覚を鍛える力を養うことに必ず役立つのだと感じている。
「ひと」(毎日新聞2016年12月27日 東京朝刊)記事を読み、
冨澤 暉(ひかる)著 
『逆説の軍事論:平和を支える力の論理』(バジリコ株式会社2015年6月刊行)

を読んでいる。

冨澤 暉(ひかる)著 『逆説の軍事論:平和を支える力の論理』(バジリコ株式会社2015年6月刊行)


(※毎日新聞2016年12月27日 東京朝刊 の記事を転載しました)


ひと(毎日新聞2016年12月27日 東京朝刊)

冨澤暉さん=猪木正道賞特別賞を受賞した

冨澤暉(とみざわ・ひかる)さん(78)


 日本防衛学会が保守論壇の大御所、猪木正道・元防衛大学校長の名を冠した賞の特別賞を新設。「逆説の軍事論」(バジリコ)が初受賞した。表彰式で「無学、老骨の身、素直に喜んでおります」と述べた。

 本人の弁とは裏腹に、受賞作は国家論、軍事史を素地に自衛隊の来歴・実務から喫緊の課題までを平易な文章で語り尽くす。関心が薄い安全保障の分野に、読者をいざなったことが評価された。

 芥川賞作家、有為男(ういお)を父に持ち、防衛大を卒業して陸上自衛隊に入り、東西冷戦期は初級幹部として戦車乗り。冷戦が終わって北部方面総監時代は、陸自として初めての海外派遣となるカンボジア国連平和維持活動(PKO)に部下を送り出す。そして陸幕長として、同時多発毒ガステロの「地下鉄サリン事件」に直面した。自衛隊の「変容」を、責任あるポストで体験した一人である。

 「退官時、一発の弾も撃たず実戦も体験せず、一体、自分のやってきたことは何だったのか。疑問を持ちました」。今春、東大ゼミ生の勉強会に呼ばれそう漏らした。その言葉を受賞あいさつでも繰り返した。軍事とは何なのか。その問い掛けが執筆の原点でもある。

 ひとつの答えは「自分たちが戦わなかったから、日本は平和だった」。だからこそ、自衛隊のリアルを知ってほしいと願う。受賞作の序章をこう締めくくる。「歴史が教えるとおり、最も危険なことは無知であることなのです」<文・滝野隆浩 写真・中村藍>


 ■人物略歴

 東京都出身。1995年、陸上幕僚長で退官。現在、東洋学園大理事・名誉教授。「論文書きが私の趣味」と話す。

猪木正道賞の授与について

猪木正道賞正賞は、防衛・安全保障研究の進歩発展に顕著な貢献をなす研究業績に対し年1回、日本防衛学会で選定し、授与します。 また、猪木正道賞正賞に準じる研究成果に対して奨励賞、安全保障についての啓蒙的著作に対して特別賞が贈られます。

NPO法人日本防衛学会猪木正道賞基金より

http://www.imaf.jpn.org/?page_id=57


猪木正道賞選考委員会 講評

選考委員会委員長 田中 明彦


【特別賞】

・冨澤 暉(ひかる) 

『逆説の軍事論:平和を支える力の論理』

(バジリコ株式会社2015年6月刊行)

本書は、軍事と安全保障・防衛に関する問題を平易な言葉で真正面から冷静に論じた近年まれに見る優れた啓蒙書である。本書は、18世紀以来の長い歴史的なスパンを通じて軍事の変遷を論じ、これによって軍隊の本質を解説し、さらに、核兵器の役割といった極めて高次元の戦略的・政治的なレベルから、部隊の指揮統率や人事、装備、訓練といった実務的なレベルにいたる広範な問題を簡潔かつ丁寧に解説している。軍事行動の様相に関しても、国家総力戦から対ゲリラ戦のような非対称戦、国連平和維持活動のような非伝統的な活動、さらにはミサイル防衛やサイバー空間における戦いにいたるまで様々な側面に触れている。また、現代における軍事力の役割についても、抑止や紛争の未然防止から、個別的・集団的な自衛権に基づく軍事力の行使、集団安全保障のためのものまで広範な議論を展開している。本書がきわめて優れているのは、丁寧な筆致で俗説に反論しつつ、冷静でバランスのとれた議論に徹していることである。軍事に関する解説書にしばしばみられる鬼面人を驚かす表現やエキセントリックさはまったくない。これは、陸上自衛隊における防衛の実務を通じて培ったプロフェッショナリズムと、退官後に大学で若い学生を相手に丁寧に防衛を論じてきた経験からであろう。総じて、本書は正論に徹した軍事論であり、専門家から初学者まで多くの読者に安全保障と軍事という問題に関する大観を提供する優れた啓蒙書である。猪木正道賞特別賞にまことにふさわしい作品といえよう。

http://www.imaf.jpn.org/?page_id=57


●本ページの記事は、katariteのブログ管理人のつぶやき記事です。



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