「フグの骨格」から連想


2017年1月16日、朝から私も自然の造形の精巧さ目を奪われました。


さて、
「骨」に関して、詩人・片岡輝は「竜骨」というイメージで一遍の詩を書いています。


竜骨(りゅうこつ)=船の底の中心線にあって、船首と船尾をつなぐ重要な材。


『人はなぜ語るのか (叢書文化の伝承と創造)』
Ⅲ章 新しい語りの創造へ-詩を肉声で伝える

視・史・祠としての詩-212頁


「竜骨よ やすらかに」(『さすらいの船路』平吉毅州作曲集より)
紹介します。

「竜骨よ やすらかに」


倦むことのない氷雨


三十九日と三十九夜

ひびわれめくれめくれて白ペンキ

なまめいた花びらとなり 剥げ落ち流れ渦を描く

三十九日と三十九夜

やせさらばえた デッキの板たちよ

襲いくる波しぶきと闘った 勇者の日々の栄光を

せいいっぱい反り返り 反り返って懐かしむがよい

やさしくなめるがごとく船体をはう

雨のしたたりにさえ

なすすべもなく犯され犯され

朽ち果ててゆくデッキの板たちよ

見わたす限りの廃墟に 煙ぶる文明の塵芥

時の重みに耐えかね

砕け砕けて 悲鳴をあげる竜骨

船底にこだまするそのしめった叫びこそ

驕りたかぶった星テラへよせる

白い白い哀しみの歌


 この詩は、一九五四年、マーシャル諸島のビキニ環礁付近で死の灰を浴びた第五福竜丸を夢の島の資料館で見た時の衝撃と平和への祈りを書いた組詩の一つです。ここでは終焉を迎えた現代社会の屍の姿が福竜丸の姿に重ねられて幻視されています。詩は、人間の肆(し=勝手気儘)に警告を発し、反省を促す役割を担ってもいます。


上記に掲載した組詩を収録した
『川よ とわに美しく』アルバムも出ています。

併収録の男声合唱のための組曲『さすらいの船路』(作詩 片岡 輝  作曲 平吉 毅州)

★併収録の「さすらいの船路」は関西学院グリークラブ往年のメンバーによるもの。
第五福竜丸というこちらも原爆をテーマにした
アカペラ男声らしい音の広がりは秀逸。
男声合唱のための組曲『さすらいの船路』(作詩 片岡 輝  作曲 平吉 毅州)
1.竜骨よ やすらかに
2.さんざめく生命
3.よみがえりの時はいつ
・指揮:北村協一  合唱:関西学院グリークラブ
さすらいの船路(男声) (若いひとたちのためのオリジナル・コーラス) 楽譜


『人はなぜ語るのか (叢書文化の伝承と創造)』ご注文はアイ企画から


価格1,800円+税
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◆第五福竜丸関連
東京都立第五福竜丸展示館
http://d5f.org/about.html


平和を語る第五福竜丸の集い
http://makotophoto.web.fc2.com/fukuryumaru/


◆第五福竜丸の書籍&メディア

写真でたどる第五福竜丸―ビキニ水爆実験被災50周年記念・図録 大型本


フィールドワーク第五福竜丸展示館―学び・調べ・考えよう - 第五福竜丸平和協会 単行本


わすれないで―第五福竜丸ものがたり (絵本のおくりもの) - 赤坂 三好 大型本


ここが家だ―ベン・シャーンの第五福竜丸 - ベン シャーン 単行本


これだけは伝えておきたいビキニ事件の表と裏―第五福竜丸・乗組員が語る 単行本


トビウオのぼうやはびょうきです 単行本








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